レビュー

福井敬&渡辺由美香リサイタル in 木更津

(2007年5月14日 18:55)

2007年 5月13日(日曜日)  木更津市民会館

木更津音協主催の173回演奏会  テノール福井敬、ソプラノ渡辺由美香、ピアノ谷池紬子


演奏会詳細情報です。今回は、福井さんのCD収録曲プラスお得意の曲からと、渡辺さんの得意とするコロラトゥーラの名曲がずらり。おのおの曲の前後に福井さんの丁寧な解説があり、全く外国の歌曲や、オペラを聴いたことがない方でも楽しめるコンサートでした。その福井さんもお話も一部抜粋してご報告します。

第1部

1 グリーグ 君を愛す 福井敬 ドイツ語 
2 アルディーティ くちづけ 渡辺由美香 フランス語 
3 滝 廉太郎 荒城の月 福井敬 日本語 
4 山田 耕筰 まちぼうけ 福井敬 日本語 
5 小林 秀雄 落葉松 福井敬 日本語 
6 ピクシオ マリウ、愛の言葉を 福井敬 イタリア語 
7 クルティス 忘れな草 福井敬 イタリア語 
8 デラックァ ヴィラネル 渡辺由美香 フランス語 
9 フォルヴォ 彼女に告げてよ 福井敬 イタリア語 

最初の2曲が終わって、福井さんのお話。「コララトゥーラの渡辺さんの紹介があり、今日は、男性、女性とも声の高い二人でお送りするコンサートです。第一部はいろいろな原語の歌曲。ドイツ語、日本語、フランス語、イタリア語といろいろな国の言葉で作られた歌曲です。その原語の持つ言葉のニュアンスが音楽にも現れています。たとえば、イタリア語だったら明るい感じ、フランス語だったら、ちょっとふわっとして流れるような、とか。どの原語で歌われているかを意識しながら聞いていただくと、また違った楽しみを感じられるかと思います。」

次は日本語の歌曲3つが終わってから、福井さんのお話「イタリア語の歌曲というのはカンツォーネといいます。大体カンツォーネでは、恋の歌、振られたけれどまだ未練が残る男の歌が多いのですが、日本で言えばの演歌のような存在です。ちょっとこぶしも入っていますし、こんな歌が毎週開かれるイタリアの市場のおじちゃん達が歌っています。フランスはイタリアよりもちょっと寒いところにありますので、そういう寒い国では、春が来るとその喜びはひとしおです。その喜びを歌い上げたフランスの歌曲です。」

最後の曲の前にも、福井さんのお話「外国の曲の本当の意味を理解するには、他国人である私たちにはとても難しい事です。でも、そこに音楽がついている限り、音楽が持つ力で理解をたすけてもらえます。皆さんも外国の曲は分からないと決める前に、その音楽のメロディーや響きを感じて、想像をたくましくして聞いてください。何か発見があるはずです。」

第二部

10 ロンバーグ 「学生王子」よりセレナーデ 福井敬 
11 トマ 「ハムレット」よりオフィーリア狂乱の場 渡辺由美香 
12プッチーニ 「トスカ」より星は光ぬ 福井敬 
13 ヴェルディ 「リゴレット」より女心の歌 福井敬 
14 モーツアルト 「魔笛」よリ復讐の心は地獄のように胸に燃え 渡辺由美香 
15 プッチーニ 「トゥーランドット」より誰もねてはならぬ 福井敬 

1曲目が終わってからお話。「第2部はオペラのアリアを集めました。オペラとは、すべての芸術を集めて、総合して、いろんな楽しみを盛りだくさんにした、とても素敵なものです。歌があり、オーケストラの演奏があり、バレエがあり、お芝居があり、美術があります。そして、オペラにはアリアがあります。アリアはその一瞬の登場人物の思いが、切々と、また激しく、また楽しく歌い上げる物です。そのアリアをたっぷりとお楽しみください。」

アンコール

1 カタリ・カタリ 
2 乾杯の歌 

アンコールのカタリの後に、福井さんから「8年前にも、この会場でコンサートをさせていただきましたが、そのとき渡辺さんは会場にはいましたが出演はしませんでした。そして、その1ヵ月後に長男が生まれ、今8歳になりました。」という形で奥様のご紹介がありました。会場は、突然の事にちょっとどよめいたのですが、暖かい拍手に包まれました。そして、最後はお二人のデュエットで乾杯の歌が歌われました。

とても、暖かいコンサートでした。サイト読者からも早速、コンサートの感想を頂きました。ありがとうございました。

 

木更津のリサイタルに行ってきました。NHKニューイヤーオペラをTVで見て福井さんの素晴らしく、堂々たる歌声に感涙している自分に驚いてました(DVDに録画してたのでラッキー)リサイタルの方は初心者の俺にも福井さんの説明がとっても親切で解り易くすんなりと入っていけました。こんな間近で見れ、聴くことができあまりの衝撃にこれまた感涙! 最後にサイン、握手とほんの少しお話をさせていただき、帰りの足はみょうに軽かったです(東京からだったので少旅行気分。あさりご飯弁当 美味しかったなー) これからも素晴らしい歌声を頑張って下さい。ありがとうございました。(しんいちさん)  2007年5月13日

松戸より木更津まで追っかけしてまいりました。CDには入ってなくて残念に思っていたトスカのアリア「星は光ぬ」をまさにカヴァラドッシになりきって歌い上げ、第一部の歌曲集では、「荒城の月]を朗々と「まちぼうけ」を軽快に「落葉松」を情感豊かに歌ってくださり、感激しました。そして歌の合間には、福井さん自ら曲の解説をわかり易く楽しくお話しなさって、オペラ初心者の私には大変勉強になりました。お馴染みの「女心の歌」の時には、観客席に降りられるなどサービス満点のコンサートでした。奥様のコロラテューラソプラノの歌声も清楚で素敵でしたが、お二人の愛のデュエットは残念ながら聴かれませんでした。主催者の音楽協会からは、丁寧な紹介冊子も配られ、鑑賞の一助になりました。演奏者を身近に感じられるとても充実した、母の日のすばらしいプレゼントにもなったコンサートでした。 
(S.Oさん) 2007年5月13日

今まで歌曲を聴いても知らない歌ばかりで、どんな歌なのかなと思っているうちに歌が終了していました。今回は「君を愛す」のCDを聴きこんでいったので、知っているメロディに歌詞で、いつもとは感動の度合いが全然違いました。福井さんの「イタリアの歌はみんなカンツォーネと言って振られた男が、君をまだ愛していると言う歌が多いんですよ、日本の演歌みたいなものですね」と解説してくださったので、そんなものなのかと納得して特に聴きやすかったです。

プログラムの中で、福井さんの「荒城の月」を一度聴いてみたいと思っていたのでとても嬉しかったです。渋くてかっこいい「荒城の月」、コミカルで面白い「まちぼうけ」、胸に優しく響いて泣けてくる「落葉松」。同一人物が歌っているとは思えないほど、雰囲気も歌い方も違って、すごいなあと思いました。特に身振りつきの「まちぼうけ」ちょっとアクの強い歌のお兄さんみたいで、ここまでやるかというサービス精神に感動しました。

コンサートに来るたびに福井さんの新たな一面を拝見できて、ますますファン度が高くなりました。そして、一番楽しみにしてきたのは「学生王子」のセレナーデ!歌詞もばっちり予習して覚えてきました。歌声が鮮やかで、本当に王子様みたいですてきでした!!また、ぜひ聴きたいです!! 渡辺由美香さんの歌で一番好きなのは「オフィーリアの狂乱の場」。本当に狂乱という感じでだんだん恐ろしくなってきました。ソロもすてきなのですが、できたら、お二人の二重唱をアンコールだけではなく、もっとお聴きしたかったです。歌でも十分に心が潤ったのですが、自然体でお互いに尊敬しあっている雰囲気の福井さんご夫妻の姿にも、とても心が潤いました。ありがとうございました。(Y)  2007年5月14日

CDでは味わえない、福井さんの歌う時の表情、身振りなどの豊かな感情表現が劇を見ているようでした。ますます、福井さんのカラフ王子でトゥーランドットを観たいと思いました。(よもぎ) 2007年5月14日

皆様も是非、一言でいいですから、コンサートに行かれた感想をお寄せください。

頂いた感想は全て福井さんにお送りしています。いい事も、もうちょっとこうして欲しかったという要望も、何でも結構です。演奏者はご覧になった皆様の反応がとても気になります。それを糧にして、また次はこうしようとか、ああしようとか考えて、より完成度の高い、皆様に満足していただけるコンサートを作られます。是非、この場をそのように使っていただければ、とてもありがたいです。よろしくお願いします。