レビュー

大賀ホール「オペラの祭典」

(2008年5月 7日 23:49)

2008年5月6日(火曜日)  軽井沢大賀ホールにて

ソプラノ:高橋薫子 テノール:福井敬 バリトン:牧野正人

指揮:佐藤宏 ピアノ:渡辺まどか 田村ルリ 

特別参加:軽井沢少年少女合唱団 軽井沢混声合唱団

第一部

ロッシーニ 「セヴィリアの理髪師」より“町の何でも屋” 牧野正人 
ロッシーニ 「セヴィリアの理髪師」より“今の歌声は” 高橋薫子 
プッチーニ 「トスカ」より“妙なる調和” 福井敬 
ヴェルディ 「リゴレット」より“お父様!”“おお、わしのジルダ!”   高橋/福井 
ヴェルディ 「リゴレット」より“女心の歌”  福井敬 
フンパーディング 「ヘンゼルトグレーテル」より“ばんざい!死んだぞ魔女は” 高橋/牧野 
  軽井沢少年少女合唱団 

第二部

レオンカヴァッロ 「道化師」より“プロローグ”牧野正人 
レオンカヴァッロ 「道化師」より“衣装をつけろ” 福井敬 
ヴェルディ 「リゴレット」より“愛こそ心の太陽” 

高橋/福井

ビゼー 「カルメン」より“闘牛士の歌” 牧野/軽井沢混声合唱団
レハール 「メリー・ウィドウ」より“ヴィリアの歌” 高橋/軽井沢混声合唱団
プッチーニ 「トゥーランドット」より“誰も寝てはならぬ” 

福井/軽井沢混声合唱団

大賀ホールは5角形の面白い形のホールで広い舞台に客席が回りこむように配置され、音響に配慮してあるのか、普通ではS席となる正面の平土間席がA席。そして、舞台と同じ高さになる2階席がS席です。きっと、舞台正面2階席が特等席なのでしょうがA席はとても舞台に近くて本当に手が届きそうな位置でした。また、3階席は立見席となっていて、ほんとに格安で一流の音楽が楽しめるようになっています。

今回は軽井沢大賀ホールの春の音楽祭という事で、4月26日からで、オープニングは大友直人指揮、東フィルのドヴォルザーク、5月6日のオペラの祭典までの8日間のプログラムでした。さすが、大賀ホールというだけあって、オケあり、前橋汀子さんのヴァイオリン、小菅優さんのピアノ、ウィーン少年合唱団、そしてオペラ・ガラと盛りだくさんの音楽祭のようです。。

そして、「オペラの祭典」。とても楽しい、盛りだくさんのコンサートでした。

オペラ・ガラのような感じで、「ヘンゼルとグレーテル」や、「カルメン」「メリー・ウィドウ」などは日本語だったので判りやすく、とても楽しく聞けました。伴奏はピアノ2台。オケにはかなわないものの、800席という小さなホールで聞くには十分オペラの迫力がありました。福井さんと高橋さんは国立音大の先輩、後輩の仲。息もぴったり。高橋さんは姿も声もピッカピカのツヤッ、ツヤッ!かわいくってとても素敵!牧野さんはユーモアたっぷりに余裕で超絶技巧のフィガロのアリア「町の何でも屋」を歌い、会場を一気に沸かせてくださいました。

喜劇あり、悲劇あり、愛の歌もあり、裏切られてうらむ怨恨の歌あり、プログラムもなんとも盛り沢山。ひとつひとつ、歌手の方の作る世界にどんどん引き込まれていき、楽しい気持ち、悲しい気持ちになったかと思ったらすぐに次の曲が始まり、「前の思いを断ち切って次の歌に集中しなくてはならないのがつらい」という、なんとも贅沢な悩みを感じてしまいました。

特に、福井さんが渾身の力をこめて「道化師」の“衣装をつけろ”を歌った後に、すぐ次に始まった「リゴレット」で“貴族や王子様ではない方が~愛こそ心の太陽”を高橋さんと歌われて、まだ、道化師を引きずっていた私は、ちょっと福井さんに不満・・・「あの、奥さん取られての嘆いてたのははどうしたの!もう、他の女の人のナンパに走るなんて!!!」と、筋違いの勘違い。逆に言えば、その見事な変身振りに翻弄されてしまったようです。「やられた!」ということですね。

みどりの素敵な高橋さん!

同じく軽井沢まで足を運ばれた方からの感想です。ありがとうございました。

軽井沢という魅力的な土地柄、小さいけど素敵な大賀ホール(向こうには浅間山)、盛り沢山なオペラ・アリア集と贅沢な休日を過ごさせていただきました。地元の合唱団との共演もあり、実力者揃いの歌唱の中にも暖かさのあったコンサートでした。中でも福井さんの響き、体に感じるビリビリ感は圧倒的でした!高橋さんとの絡みも感動的でした。大賀ホールよかったです、夏の音楽祭も要チェックと思います。(2008年5月8日 T.Kさん)