レビュー

奇跡のデュオ 福井敬vs福島明也

(2011年8月23日 19:00)

二期会ゴールデンコンサート in 津田ホール

2011年8月23日 津田ホールにて

福井敬(テノール) 福島明也(バリトン) 谷池重紬子(ピアノ)

プログラム

福井敬    小林秀雄     落葉松
福島明也   滝廉太郎     荒城の月
福井敬    平井康三郎    平城山
        山田耕作     あわて床屋
福島明也             鐘が鳴ります
        中田喜直     たあんき ぽーんき
福井敬              サルビア
                 悲しくなったときは
福島明也             つくだ煮の小魚
                 結婚

休憩

福井敬・福島明也  ヴェルディ「ドン・カルロ」より  友情の二重奏
福井敬       プッチーニ「西部の娘」より    やがて来る自由の日々
福島明也      ヴェルディ「椿姫」より      プロヴァンスの海と陸
福井敬      ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」より 五月のある晴れた日に
福島明也    ジョルダーノ「アンドレア・シェニエ」より 祖国の敵
福井敬       プッチーニ「トゥーランドット」より    誰も寝てはならぬ
福島明也  ヴェルディ「ドン・カルロ」より  ロドリーゴの死“終わりの日は来た”

アンコール  プッチーニ「ラ・ボエーム」より
       見上げてごらん夜の星を (全員合唱)

奇跡のデュオとは、すごい副題のコンサート!しかし、今や二期会を代表するこのお二人ならでは。あながち誇張とも言えない。その昔お二人のデュオコンサートは、2002年の二期会50周年記念でサントリーホール小で行われた。あの時も「ドン・カルロ」の友情の二重唱が歌われ、いつか全曲をこのお二人で聞きたいと思った。

ときが経て、今回のコンサートでは前半日本歌曲、後半オペラアリアと多彩でボリュームたっぷりのプログラム。特に、福井さんの冒頭の「落葉松」が秀逸で、いつもよりぐっと表現が抑えこまれている分、その静かさに思いが凝縮されているようだった。後半のオペラアリアは、ベテラン二人によるエンターティンメントを十分に味わった演奏会だった。


感想を寄せていただきました。ありがとうございます。 

男性お二人のコンサートは恋だの愛だのという歌ではなく、次から次へとシリアスな場面の歌の連続で、特に後半はオペラの世界にぐいとひきずりこまれました。知らず知らずのうちに地面に足をぐっと踏ん張ってお腹に力をいれてしまう、でも最後には涙ぐんでしまう歌ばかりでした。 一番期待していた「ドン・カルロ」の二重唱、会場いっぱいに広がる力強くて重厚な歌声に心がカーッと熱くなりそのまま鬨の声をあげたくなりました。
 
アンコールでのボエームは 客席の左右の通路にわかれて福井さんと福島さんと歌をかけあいながらの二重唱、もちろんもう若者ではないお二人なのですが、才気煥発な若者のオーラを放射していてそれはそれは格好良くてドキドキしました。この二重唱は不協和音にしか聴こえないと思うこともしばしばですが、ここまでぴったりとあった重唱は初めてです。今まで聴いたなかで最高でした!!
 
 最近は夏の暑さに疲れて、生活も周りの風景も色あせて体力と我慢の限界だったのですが、
コンサートの翌日は体は軽いし、見慣れた風景も生き生きしていて「奇跡のデュオ」効果にびっくりしました。ぜひ、またお二人の二重唱を聴きたいです。そして、福井さんの「サルビア」心に突き刺さったままです。この歌もぜひまた聴きたいです。(Y)