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タンホイザー感想(A.Yさんより)

(2012年3月28日 07:09)

 20年前にタンホイザーを某会場で観たときは、前列の右端の席だったため、当座の演出では巡礼達の一部しか見えなかったため、よっくり音楽を聴くどころではなく、タンホイザーには欲求不満になっていたところ。 

一昨日は山下公園で海を眺めしばし深呼吸をした後、ステージ全体を見渡せるど真ん中に45分前から陣取りじっとその時を待っていました。 オーケストラが少し広がって聞こえるなあ、と思いながらも、福井さんの声を聴く度に、開演前に「福井敬ネット」のチラシを眺めていた隣の席女性に、思わす「いいですよね。」って声をかけたくなるところを我慢していました。

 相手に語る声と心情を語る声、同じ声なのに福井さんの声は明らかに違う。そのうえ確りと僕の席まで届いている。そしてファウストの劫罰の時と同様、演技が凄い。大聖堂の場面で、他の騎士の歌に辟易しているところでは、こちらも同じ気持ちになるほどの迫真の動きでしたし、何より眼つきが怖い。

「福井さんはきっとヴェーヌスベルクに行ったことがあるんだ!違いない。今度教えてもらわなければ。」と半分真剣に思い込んでしまったほどでした。 勿論、関係者全員の一致団結した思いが作品のあちらこちらに滲み出ていましたし、その想いが観客にも染み入りました。

 帰りの電車を乗り継ぎながら、帰ったら小学生の娘にストーリーをどう説明しようかなあと考えつつ、そのモチーフをあれほど荘厳なオペラに作り上げるワーグナーとドイツの文化。そしてそれを表現できる福井さん達は本当に偉大だなあと改めて思いました。 来月は、福井さんのフアンになるきっかけになった大地の歌に娘を連れて行きます。上の席から初台の3階に響き渡る福井さんの歌声を今から心待ちにしております。(A.Yさん)