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タンホイザー感想(Collinaさんより)

(2012年4月 1日 11:43)

オーソドックスな演出と舞台セットの美しさで、とても素敵な舞台でした。
 
公開リハーサルの折、演出補の田尾下さんが、『福井敬さんは、演出のハンペ先生の意図をよく理解してくれた演技をしてくれて、先生は満足していました。』と、お話しされてました。
福井さんの演技力のすごさについては、今更ながら・・ですが、オペラ歌手の演技というレベルをはるかに超えて、歌える役者、素晴らしい表現者、なんだなあ~と改めて感嘆しました。
 
二幕の歌合戦で、他の騎士たちへの侮蔑の表情、皮肉な笑い、俺が正しいんだ!とばかりに飛び出してヴェーヌスベルクと声高に叫んでしまうまでの声の勢いを感じさせる歌、そして一転して失言した!と悟ってからの青くなってうなだれて、ひざまずいての絞り出すような声。
面白くって、ハラハラさせて、やんちゃでどうしようもない暴れん坊な男の子なんだけど、だからこそ許して、包んであげたくなるようなお姿に、母性本能を刺激されました。
 
三幕では、ローマ語りからヴォルフラムをつきのけ、ヴェーヌスに手を伸ばすまでのくだりの息もつかせぬ緊迫感とテンポの良さに鳥肌が立ち、ワクワクしました。
劇場中を金縛りにかけて、どこか別の世界に連れて行ってしまうかのような恐ろしさと、陶酔感・・・。
ワーグナーの魔法にかかってしまったようです。   (Collina)