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3月29日 福井敬テノールリサイタル(感想の投稿)

(2013年5月19日 10:21)

3月29日、ようやく咲き初めた花を愛でながら 瀬戸大橋を渡り、四国高松のアルファあなぶきホールを訪れた。
世界的テナー福井敬さんを十数年ぶりに聴くためである。
ますます円熟味を増されたステージに、私は1999年6月の新国立劇場に於ける「罪と罰」のロージャが重なり、こみ上げる感慨に涙がこぼれた。
 当日のプログラムは、日本の歌・後半はオペラのアリア
数曲・・・。 決して大きく広いとは言えないホールが、福井さんが登場されると、客席とステージを一つにして歌われる福井さん。大きなステージが輝いてきた。
「待ちぼうけ」や武満徹の「小さな空」は真骨頂かもしれない。聴く者を引き込み、心が鷲掴みにされてしまう。
 公演後、直接お目にかかり、1999年夏の「罪と罰」のお話をさせて頂いた。共演は、鮫島有美子さんで、あのドストエフスキーの複雑で奥の深い小説がオペラ化され、その主人公 ロージャ(ラスコーリ二コフ)を福井さんが演じられたが、出ずっぱりの福井敬さんの真摯な力演が素晴らしく、印象にのこると評されていた。そのとき以来 影のファンとして応援させて頂いて今日に至る。


 偶然、4月14日、学士会館で鮫島さんに会い、早速、高松の夜を話して懐かしんだ。
高松の帰途、お若い人に1999年の「罪と罰」が、どんなに素晴らしかったかを話しても "その頃は生まれていなくて・・"と言われ、しみじみ福井さんの円熟された雄姿と過ぎた歳月が私を特別な夜に誘ってくれた。
ご活躍を心よりお祈りいたします。また どこかで・・・

一つだけ残念だった事;
 歌い終わられない内から「ブラボー」「ブラビッシモ」でも ない「応援叫び」がホールに響き、聴く人のマナーを考えさ せられた点。 ご熱心のあまりでしょうか?(S様)