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ホフマン物語 感想(投稿、COLLINAさん)

(2013年8月13日 06:26)

ホフマンー2130803_135151_R.jpg今回のオペラに先立って、12年前の二期会のホフマン物語のVTRを見る機会がありました。福井さんの美声は輝かしく響き、圧倒的な存在感で、VTRなのに生の舞台を見たようにドキドキしました。今回、12年前の美青年ホフマンに
更に渋いかっこよさが加わり、視線のもっていきかたひとつまで練り上げられた演技力と充実の歌唱で若くては出せない円熟の素晴らしいホフマンした。
ドミンゴのホフマンを見てからずっと、福井さんにこの役を演じてほしいと思ってきました。今回念願がかなって、本当に見事な福井さんのホフマンを見ることができて嬉しいです。
 
冒頭、酔っ払ったホフマンが酒場で歌う場面では、コート姿と強く太めのお声の感じが昨年3月のタンホイザーを想起させました。飲んだくれの芸術家をリアルに演じながらも決して汚くはならず、むしろ助けてあげたいと思わせるようなかっこよさでした。
                            
また、主人公が若者から大人へと成長していくストーリーは昨年9月のパルジファルちょっと思い出しました。幕ごとに成長していく様が大変お上手で、また歌唱もそれぞれの幕で変化させていて数々のオペラを演じてこられた福井さんの芸の巾広さ、奥行きの深さを堪能し、20年のキャリアの集大成ともいえるホフマンを満喫しました。
 
オランピアの幕では初々しい若者を軽やかに歌われ、恋する青年となったアントニアの幕では温かみのある七色の色彩を感じるような声で、木下さんとの二重唱は心弾みました。
特に、クレスペルとミラクル博士とホフマンの三重唱は音楽も素晴らしく、怖い場面なのに美しいハーモニーにワクワク、ドキドキ・・・
福井さんの「アント~ニ~ア~」で一つのオペラを見終わったような気分でした。
ジュリエッタの幕は、青く輝くダイヤモンドの洞窟の舞台が幻想的で息をのむ美しさでした。
この場面での福井さんは現実的な強い声で、流れるようなオーケストラをバックにした七重唱はあまりにもきれいで、このままずうっと聞いていたい~という幸福感に包まれました。
学生たちの若く溌剌とした合唱はとてもよかったし、今回、合唱を伴って歌うと(絶対埋もれない、どころか突き抜けて響く)福井さんのかっこよさが際立つな~と感じました。
 
福井さんのファンとしては、ミーハーな気分も満たしてくれるような、豪華な衣装の着せ替え人形を見るようなお楽しみもありました。奇術師みたいな赤いジャケットにハート形の眼鏡姿など他では見ることができない貴重なものだし、ジュリエッタの幕での黒いレースのドレッシーな衣装がお似合いで素敵でした。また、ピアノを弾く福井さん、合唱の指揮をする福井さん、オランピアとかわいいダンスをする福井さん、ころげて気絶する福井さん、決闘で相手を倒す福井さん・・・といろいろなお姿も楽しめて目福でした。
 
Collina