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ホフマン物語 感想(投稿 Yさん)

(2013年8月13日 06:35)

ホフマンー2130803_135151_R.jpgうわっ!!ホフマンすっごくかっこいい!!
 
二枚目役の福井敬さんはいつもかっこいいけれど
 
今回は全く別人のようなかっこよさで
 
どういつもと違っているというと
 
目つきが鋭くて
 
常に物事を考えている表情だけど、
 
柔軟な思考を持ち、ユーモアがあり、教養が滴り落ちるほどある雰囲気で
 
色気があって、ちょい悪おやじが少し入っているような
 
人を惹きつける強烈なオーラがあり
 
と考えてみて
 
ハッ、そうだ、ホフマンは飲んだくれのおやじではなくて
 
(予習した某DVDの影響でついそう思ってしまうけれど)
 
詩人だった!
 
詩人の魅力が出てるから素敵なんだ とぐるぐる同じことを
 
3回ぐらい考えながら
 
初めて「クラインザックの歌」を面白いと思って聴きました。
 
人物像イコール声が魅力で
 
学生たちが芝居を蹴ってまでも、ホフマンの話を聞きたがったのもわかる。
 
 
 
 
第二幕 若いホフマン!
 
昨年のパルジファルの時も思ったけれど
 
福井さんの年齢差の表現の上手さときたらびっくり!
 
博士の家が近未来的な大掛かりな装置でワクワク感上昇。
 
衣装も鮮やかでとても嬉しい。
 
オランピアに情熱的な愛を歌うホフマン。
 
福井さんの歌が素晴らしいので、気持ちが舞い上がるのだけれど
 
人形を口説く滑稽さに加えて
 
ピンクのハートのふちどりのメガネをかけたホフマンの姿が
 
おかしくておかしくて
 
ホフマンが真剣になればなるほど、
 
私の中のうっとりした気持ちと爆笑したい気持ちが拮抗し、
 
この物語のコメディ部分を存分に堪能できました。
 
オランピアの安井陽子さんのアリアは
 
高い音なんて出していませんよというような感じで
 
あまりにも軽々と安定していて鳥肌がたった。
 
凄いものを聴いてしまった。
 
 
第三幕は
 
なんといってもジュリエッタの衣装!!
 
着物をアレンジしたドレスで佐々木典子さんの歌にぴったり。
 
艶やかで品が良くて聴き惚れ、見惚れました。
 
 
一番好きなのは第四幕
 
木下美穂子さんのアントニアは、本当にはまり役で
 
アントニアとホフマンの二重唱にこちらの魂までも飛翔しそう 
 
ただ、短すぎるところが少々悲しい・・・。
 
フランツの歌も面白くて、歌の下手な私にはいちいちもっとも身につまされる。
 
そして、いよいよ
 
この名曲揃いのホフマン物語の中で一番私が好きな歌
 
ミラクル博士とクレスペルとホフマンの三重唱
 
ミラクル博士が見えないアントニアを呼び寄せたときは
 
スモークが舞台横から流れてきて、
 
椅子のところでそのスモークがピタッと止まり、ゾクッ!!
 
ミラクル博士の不気味な声とクレスペルの父親らしい重々しい声の上に
 
ホフマンの高い声が冴え渡り、
 
このゾクゾク感、ワクワク感、夏の夜の肝試しの怖さと楽しさのような。
 
 
今回は、、3幕目の初めに分解したオランピアを抱えた
 
ホフマンが消沈した表情で歩き、4幕目の初めには恋敵を殺したシーンが
 
一瞬ちらりと出て、各話が続いていることがわかりやすく演出されていました。
 
若くて屈託のないホフマンが恋した人形をバラバラにされ、
 
荒んだ気持ちの娼館行き、そんなホフマンもアントニアに恋をし
 
やっと立ち直って心も落ち着きを取り戻してのところを襲った悲劇。
 
その上、さらにステラに愛想をつかされるも、
 
ミューズに励まされて芸術の世界に邁進していく。
 
最後、舞台奥のピアノに向かうホフマン
 
舞台の手前では、学生たちが陽気などんちゃん騒ぎ
 
その対比が鮮やかで、じ~んとしてしまった。
 
最後まで見て、納得も納得。
 
冒頭、舞台に登場した時から福井敬さんのホフマンは只者じゃない。
 
一目で、絶対にこの人はなにかを成し遂げるに違いないと
 
思わせるオーラが放射されていた。
 
だから、どんなにひどい目にあっても、それを糧として
 
立ち直る姿にリアリティがあり、感動した。
 
 
ミューズに愛されていない凡人の私も
 
ミューズに愛されている歌手の方たちから、
 
ちょびっとエネルギーの分け前を頂いて
 
ヘロヘロに疲れきって、劇場に着いたのに
 
劇場を出るときは、しゃきっと笑顔 
 
月曜日に会社に行った時は、ホフマンに感化されたのか
 
恥ずかしいぐらいに上機嫌で、ハツラツと仕事をこなし
 
こんなに朗らかな声が出せるんだな~と自分で自分に感心してしまった。
 
次に観るオペラ「ワルキューレ」まで約1ヶ月
 
この状態を続けるように頑張ろう!
 
 
 
 
2013年8月3日14:00開演
 会場:新国立劇場 オペラパレス
指揮:ミシェル・プラッソン
演出:粟國 淳
装置:横田あつみ
衣裳:アレッサンドロ・チャンマルーギ
照明:笠原俊幸 演出補:久恒秀典 合唱指揮:大島義彰 音楽アシスタント:佐藤正浩 副指揮:松井和彦 舞台監督:菅原多敢弘 公演監督:三林輝夫
ホフマン   福井 敬 ミューズ/ニクラウス   加納悦子 リンドルフ/コッペリウス/ ミラクル博士/ダペルトゥット   小森輝彦 オランピア    安井陽子 アントニア    木下美穂子 ジュリエッタ   佐々木典子 スパランツァーニ    吉田伸昭 クレスペル    斉木健詞 シュレーミル/ヘルマン    門間信樹 アンドレ/フランツ      大川信之 ルーテル      狩野賢一 ナタナエル     新海康仁 コシュニーユ/ピティキナッチョ    坂本貴輝 アントニアの母の声    与田朝子
合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団