「オテロ」の感想

2015/03/29

公演: ヴェルディ 歌劇「オテロ」全4幕(神奈川県)

舞台には、オテロが福井さんに憑依して立っていました。

過酷な人生を歩んできて、その苦労や辛さや怒りが滲み出ている男。

対照的に砂川涼子さんのデズデモナがあまりに清らかで美しく、

二人並ぶとより一層オテロの闇の部分が強調されて、胸が苦しくなりました。

イアーゴの黒田さんはハンサムでクールで、

見かけ上は絶対に人をだますようには見えないところが恐怖でした。

キャスト全員がはまり役での大熱演で、オーケストラも衣装もセットも

全て素晴らしい、文句のつけようがないほどの完成度が高い舞台でした。

福井さんは歌も役作りもいつもより更に段違いの迫力。

目を離すことができませんでした。

現実の惨劇であるかのように息を詰めて観ていました。

そのせいか帰宅した途端、へたりこんで動けなくなり、

やっと寝床に入ったら悪夢にうなされました。

救いのない迫真のオペラは本当に恐ろしいと思いました。(YY)