「六騎Rokkyuーこころを歌う。」を聴いて

2017/11/26

公演: 福井敬「六騎Rokkyuーこころを歌う。」発売!

 福井敬さんの新しいCD「六騎」が発売になりました。

 いつも凄いと思うけれど、今回のCDは、更にレベルが数段上がった傑作でした。

 1曲目の「おんがく」から既に感動が頂点に。「神様だったらみえるのかしら」と聴きながら、「神様、これほどの素晴らしい音楽を聴かせていただけてありがとうございます。」と感謝の心でいっぱいになりました。

 それぞれまったく世界が違う歌のドラマが、ゆっくりと鮮やかに福井さんの美しい声で表現されていて、特に「秋桜」「夢みたものは」は感動巨編の映画を1本観終わった心持ちになって、とても連続では聴いていられなく、休み休み聴いていました。早く全部聴いてみたいという思いと、感動しすぎて心の処理能力が追いつかないもどかしさ。「ちいさい秋みつけた」を聴いているところで、涙が止まらなくなり、その日はギブアップ。後半は翌日まで我慢しました。

 やっと聴くことができた「さとうきび畑」は今まで聴いた中で最高で、とても言葉で表すことができません。

 福井さんの悲しい歌は、あくまで優しく、慈しみがあり、幸せな歌は、そこに到達するまでの辛い背景を感じる。そうかと思えば「六騎」や「ほおずき」みたいに濃厚な色気と切なさにわっとなる。大自然を歌った歌は爽快で、勇気が湧いてくる。福井さんお一人で誰ひとり同じではない(個人的な意見では、「さとうきび畑」は死んだ父親と父を亡くした娘と風の心だと思うので)十七人と風の心を様々に歌い分けていることに本当に感服しました。

 しかし実はもう一つの驚きの発見をしました。 それは、「アマリッリ麗し」を日本歌曲の後に聴くと、日本語で歌われていないにも関わらず、歌の心がわかるということです。「六騎」が日本の心を歌うだったら、「アマリッリ麗し」は西洋の心を歌う。日本の心だけでも、表現が多様で驚きなのだけれど西洋の心を加えると倍以上の表現を聴くことができるわけで、(三十人と風の心)ますますますます福井さんの凄さがわかるのです。

 恋についてや、幸せについての表現が、日本と西洋では全く違う点も、とても面白いです。

 今現在の福井敬ワールドを完璧に理解するには、絶対に「六騎」と「アマリッリ麗し」の両方聴くことをお勧めします。(YY)