八ヶ岳はまだ早春。林の中の遊歩道を歩いて、自然を満喫しながら着いた音楽堂は木のぬくもり。
ステージの後ろはガラス張りになっていて、左に大木、真ん中に富士山、右に林が見えて、
まるで野外ステージみたい。そこで始まったアントネッロの演奏を聴いて、音楽って今、
林の中で見て、聞いてきた自然を凝縮したものなんだなあと思いました。
福井さんが加わると背景が揃いすぎている中での濃厚な物語が始まり、ひきずりこまれずには
いられない。
私の席から見ると、人間技とは思えない超絶技巧で演奏している濱田芳通さんのすぐ後ろに大木が
枝を伸ばしていて、まるで木の精霊が演奏しているかのようでとても素敵でした。
後半は、日が落ちて辺りが暗くなってきました。ライトに照らされた木の壁のホールは一層
居心地が良くなり、音楽とホールと私たち聴衆の親密さが増して一体になった気がしました。
ハープの細かい音色を聴けば、心の中の琴線も細かく震え、ヴィオラ・ダ・ガンバの音を聴けば、
違う琴線が刺激され、福井さんの歌を聴けば、ぐっと切なくなり、リコーダーの音が始まれば、
また違うところがかき乱され、心のあちらこちらが刺激され、ほぐされてエネルギーが満ち溢れて
きました。4人の演奏それぞれの感動とホールの素晴らしさ。すっかり元気になりました。
ありがとうございました。(YY)