第23回 宮崎国際音楽祭「プッチーニの世界 ある晴れた日に」感想

2018/05/16

公演: プッチーニ:歌劇『蝶々夫人』コンサート形式 (宮崎県)

宮崎での「蝶々夫人」を聴いてきました。宮崎空港に降り立つと突然の土砂降りと雷のお出迎えに(今日の福井さんは絶好調!) と確信しました。

昨年の椿姫で圧巻の歌唱を披露した中村恵理さんのタイトルロールに高まる期待と、初めて聞く福井さんの憎まれ役、ピンカートン像に ドキドキ・・・。

中村恵理さんは、登場から期待通りのすばらしさでした。袖から歌声だけが聞こえるのですが、その美しいこと! そして、花嫁衣裳を思わせる真っ白い着物を使ったドレス姿で客席に現れたお姿に目が吸い寄せられます。

福井さんのファンとしては、この時に蝶々夫人に向けられた舞台上の福井ピンカートンの喜びに輝く素晴らしい笑顔を 中村さんの背中越しに拝めて、キャ~!!でした。

一幕最大の聞かせどころ、愛の二重唱。甘~い、といより生命力の塊のような二人の声のパワーは驚異的でした。

中村さんの蝶々さんは、運命に翻弄された儚くか弱い女などではなく、しっかりと信念を持ち、理性的で、誇り高い侍の娘に見えました。 福井さんのオーケストラを圧倒し、情熱的でパワー全開の歌声が素晴らしかったです。

私が一番いいなあと思ったのは、3幕のピンカートンとスズキとシャープレスとの三重唱です。僕は間違っていた、僕は逃げる、 僕は卑怯者だ、と歌う姿には、ジ~ンときてしまいます。過ちに気づいて悔いる姿と、真摯な歌唱が心を打ちます。 こういうシーンが福井さんは本当にお得意ですね。

山下牧子さんの優しくて温かで素敵なお声と、本物のスズキか?と思うような表情にくぎ付けです。私たち観客は、この物語をスズキの気持ちで聴いているので、山下さんのような方に歌って頂けて、本当に幸せです。

素晴らしい公演を聴いた後は、友人たちと宮崎自慢の美味しい郷土料理とイモ焼酎で乾杯!しました。

(Collina)