自分の席に座る時に、、ヴィオラ・ダ・ガンバ側だったとわかり狙ったわけではないけれど、席の選択が正しかったことを悟った。
福井さんの明るい声の後に、石川さんのヴィオラ・ダ・ガンバの低音が良く聴こえてゾクゾクする。そうこうしているとチェンバロやリコーダーの音がキラキラ聴こえてくる。
歌とそれぞれの楽器の音を聴くたびに、いちいち「うわっ!」と驚く。
初めて、美しい音楽を聴いた時のように、心の中では大騒ぎを繰り返す。
すっきりと空っぽの体に、瑞々しい音色が満たされていく。
陽気で、楽しくて、切ない。切ないと言葉で書けば、一語なのに、
音楽で表現されると何十通りの切ないが表現される。
そして、体のあちらこちらに染みていく。
第一部が終了した時に、もうすっかり気持ちが高揚して、
大満足だった。
そして、第二部があるなんて、なんて贅沢なことなんだろう。
1曲目の日本歌曲は「六騎」これも、切ない歌。
日本版の切なさには、粋な心も入っていて、かっこいい。
「秋桜」「春なのに」福井さんの歌謡曲は、日常生活の記憶に真っ直ぐ
語りかけてきて心を揺さぶる。会場中にすすり泣きの声。
一転して、チマーラの「海のストロネッロ」
どこまでも深く海の青のグラデーションが続く絵画を見ているような
壮大な芸術作品。
実は、オペラアリア前のトークの時間に
ドンと縦揺れがあり、ちょっと不安になったのですが
大した地震ではなくて、演奏は続行。
お待ちかねのオペラアリア
「清きアイーダ」勇壮だけど透明感溢れる初々しい恋の歌に
のぼせてしまう。
「道化師」の激情!
声量があまりに凄くて鼓膜も体もビリビリする。
天変地異はホール内にあり。すっかり、地震のことを忘れてしまった。
アンコールは、「落葉松」、「誰も寝てはならぬ」
福井敬さんの七変化を存分に堪能させていただいて
感動も七変化でした。ありがとうございました。(YY)