福井さんの十八番ばかりの王道コンサート

2019/09/09

公演: 福井敬テノール・リサイタル(埼玉県)

福井さんの十八番ばかりの王道コンサート。 9月とはいえ真夏のような蒸し暑さの越谷でしたが、空調のきいたホールの椅子にゆったり座って福井さんの歌いこんできた日本歌曲を素晴らしい技巧でもって聞かせていただく、贅沢な時間でした。

今日の演奏は、いつもよりテンポを落としたり、デュナーミクを強調したり、そしてまっすぐ飛んでくる矢のような歌声の力強さを感じました。宵待草の染み入るような風情が特に素敵でした。

宮沢賢治の

雨ニモマケズの朗読から続けての[死んだ男の残したものは]の熱唱は、ピーンと張りつめた緊張感と平和を願う心からの熱い思いを、いつもながら全く見事に表現されて一幕のお芝居を見ているようです。

<歌曲はオペラのように、オペラは歌曲のように> ずーっと厳しく、怖い顔で歌ってきて最後に少し、優しい笑顔を見せてくれ、みんなホッとするのと同時に改めて反戦を思うところも、素晴らしい弁士は絶妙です。

休憩時間に「この曲はいい歌だから歌いたがる人は多いけど、福井さんほどの説得力をもった素晴らしい歌い手はいない」という声を聞いて嬉しかったです。

後半は後ろのドアから現れて、客席を廻りながらの[学生王子のセレナーデ] 拍手と歓声、握手を求める手が伸び、ヒューヒュー!ピーピー!とクラシックのコンサートとは思えないくらいの盛り上がり。(御自身で純烈です(笑)とおっしゃってました) 続くビーマイラブと会場中をピンクの薔薇の花びらが舞う甘ーい空気でいっぱいにしてくれました。この演出、大好き!

写真左は、構成とお話の岡部真一郎さん。 休憩時間に客席から集めた質問を福井さんにインタビューしてくれました。 岡部「福井さんが一番幸せを感じるときは?」 福井「舞台に立ってお客様からの笑いや拍手、反応をいただける時、、、今です!」 岡部「オペラの登場人物で一番好きな女性は?」 福井「カルメンやマッダレーナ 男ゴコロを鷲づかみするような魅力的な女性に憧れます」 等々、インタビューでお人柄を垣間見ることができて楽しかったです。

Collina