レビュー

都響スペシャル第九

(2006年12月27日 10:18)

2006年12月26日(火) サントリーホール

指揮:ジェイムズ・デプリースト

ソプラノ:澤畑恵美  メゾソプラノ:竹本節子  テノール:福井敬  バリトン:福島明也

合唱:二期会合唱団

今年の第九の一押し。都響スペシャル第九を聞いてきました。席は二階の真ん中通路のやや左側。

年末になるといたる所でこの第九をやっていて、アマチュアの演奏から、今回のようにコーラスもすべてプロの演奏までさまざま。昔はいつも年末にやるから1年を振り返るための曲だとばかり思っていて、今でもあの歓喜のメロディーが流れると今年も無事すごせてありがとう。来年もがんばります。なんて気分になっていました。

ところが、近年第九の本当の意味を知り、その内容の奥深さにびっくり(ちょっと遅すぎた!)これは人類はみな兄弟になれ!世界中の人達の平和と共存を願う壮大な曲だったのです。(だったら何も年末にやる必要ないんじゃない?)だから、今回も都響第九に行きました。なぜなら、本当にいい演奏を聴いて、そのベートーベンの意図した世界を体現したいから。

期待は裏切られず、すばらしい演奏でした。特に第三楽章から第四楽章がよかった。大体いつも第一、二楽章は結構重くて一生懸命聴いてて疲れ、第三楽章になると音楽もやわらかくなってホットすると同時にちょっと眠くなるのですが、今回は第三楽章がほんとにとても美しくてうっとり。眠るどころかきれいなお花畑を踊りながら漂っているかんじ。天国ってこういうところかもな~なんて。

そして、第四楽章に入ったら、はっきりベートーベンの理想が語られます。コーラスって全体で聴いて、きれいだとかまとまっているとか言いますが、今回のは、一人一人の主張がそれぞれ聞こえて、それが束になっているっていう感じ。そして、ソリストがそれを先導していて、本当に来てよかった!福井さん声もオケやコーラスを飛び越えて会場すみずみまで響いていました。

それにしても、デプリーストさん初めて聴いたのですが、本当にすばらしかったです。都響ってこんないいオケだったっけ?と思い、確か去年も聴いたはずの二期会合唱団もこんな主張する合唱だったっけ?とか。悠然と座って派手な指揮でもないのに、なぜか猛獣使い(いい意味で・・笑)のように見えました。みんなの個性や主張を十分に引き出し、見事にまとめられて、すごい指揮者でした。


12月26日の第九私も聞きました。すばらしい演奏でしたね。そして、第三楽章は眠くならずに晴れやかな気持ちで聞けた・・・というのは、私もまったく同じです。第三楽章の美しさをこんなに実感したのは初めてでした。(A.K。)  2007年1月22日