インタビュー

福井敬さんインタビュー③「ダフネ公演を前にして」

(2007年1月27日 11:56)

2月10日に初演を控える、二期会公演、リヒャルト・シュトラウス作曲のオペラ「ダフネ」。日本初演になるこのオペラにかける意気込みや、見所をサイト読者の質問をもとにインタビューで語っていただきました。複数の方からの質問の投稿ありがとうございました。今後もこのような企画を催していきますので、是非、ご参加ください


①いくつもの初演を手がけていらっしゃいますが、初演作品はどういうお気持ちで望まれるのですか?初演じゃないものと何か違いがありますか

初演の作品に出演する時には、一から創り上げる喜びが大きいですね。前例がないだけに、それをどう表現するかが楽しみです。お客様がご覧なったときに、その作品が持っているオリジナルの形のすばらしさや、音のすごさ、ドラマの面白さが、どうしたら正直に伝わるか、どうしたら本当に作曲家の意図を再現できるか、という事を初演の時には、すごく感じますね。
すでに何度も色々な形で演られている作品では、自分の色や個性をより出していこうという意識が大きくなるのですけれど、初演の場合は、作品本来の持っているドラマの面白さや歌の魅力を、皆さんが感じられるにはどうしたらいいんだろうって言う事を考えますね。なるべく、作曲家の考えていた形をきちんと再現したいという気持ちが強くなります。

②前の「ボエーム」「蝶々夫人」はイタリア語でしたが、今回はドイツ語のオペラでイタリア語のものと違ったニュアンスを感じる点などありますか?

演奏する際に、原語の違いについては、私には余りこだわりはないのですよ。ドイツ語、イタリア語というよりは、「作曲家のもっている、意図している音」を意識して歌います。
たとえば今回では、本当に流麗で、豊満な和音とメロディー、オーケストラの音色が、作品の魅力を際立たせているのです。
その時代、19世紀のウイーンを表しているような絵画的な、国際色豊かな音楽。本当にそれに魅力を感じます。ですから、言葉と言うより、その作曲家の持っている色。そういうものを意識しますね。

③福井さんの今回のアポロの役の見どころや聴かせどころはどんなところですか?

そうですね。アポロは、実は太陽の神なんです。ですから、人間ではない神々しさを持ったその雰囲気というものを伝えられればいいなと思っています。でもね、なかなか・・
一筋縄ではゆきません(笑)。今取り組んでいる真っ最中なのですが・・神と人間と一体何が違うんだろうかと思ったり。このアポロって、すごく人間くさい神なのでね。
でも、ゼウスの息子であり、音楽の神でもあるオリンポスの二代目の神の一人、アポロの
神聖をどれくらい表現できるか。どうぞ楽しみにしていてください。
                                                           
④声や体力のペース配分もしっかり考えていらっしゃるのですか?

ええ、この『ダフネ』のアポロという役は、声楽的にもかなり高音が続いたり、より強い音が要求されますので、その点はうまくペース配分をして、持つようにがんばるつもりです。

⑥今回は、ダンスもすごいそうですが、福井さんも少しは踊ったりなさるのですか。先日の1月8日のアプリコでのコンサートでワルツを踊ってられたのが素敵でしたので、期待しています。 

ダンスに関しては、もうダンサーの方がすばらしいダンスをなさいますし、演出の大島早紀子さんが、いろいろなアイディアを駆使して、見せ場も作ってくださっているので。ダンスはもうダンサーの方の踊りを楽しんでいただければ・・・。私は、ダンスはしませんが、演出家がすごく自然で流麗な動きをつけて下さっていますから、それが舞踏を踊っているように見えたらいいなと思います。
アプリコの「メリー・ウィドーワルツ」をそんな風に褒めて頂くのは恐縮です。(笑)

⑤ダフネに限らないのですが、福井さんが理想あるいは目標とされる方がいらしたらお聞きできますか?

もう、すばらしい方は大勢いらっしゃって・・。ほんとに、どなたにも学ぶところがありますから、この人一人というのはあげられないですね。

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