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最近の演奏会から

(2007年12月23日 09:17)

12月13日(木曜日)  東京芸術劇場  KAY合唱団ヘンデル「メサイア」

指揮/渡辺善忠 

ソプラノ/釜洞祐子  アルト/寺谷千枝子  テノール/福井敬  バス/大島幾雄

合唱/KAY合唱団  演奏/KAY室内合奏団  チェンバロ/草間美也子

アマチュア合唱団ならではの、とても暖かい「メサイア」演奏でした。この団体は、毎年12月に「メサイア」を演奏しています。KAYのKは恵泉女学園、Aは青山学院、YはYMCの略だそうで、学生さんから年配の方までの混声合唱はさすがに毎年演奏しているだけあって、安定してまとまった演奏でした。

福井さんはじめ、ソリスト陣はベテランの方々ばかり。特にソプラノの釜洞さんは、バロック演奏にぴったりの真っ直ぐで響きのある声で会場を魅了していました。まさに、天使の声という言葉がぴったりです。

福井さんは、あのヴェルディやプッチーニなどの情熱的な歌とはガラリと違い、様式で聞かせるこの時代の音楽を見事に表現されていました。何でも歌えるのですね。しかも、バロックを専門に歌う歌手にはない、福井さんらしいつややかな表現や、ドラマティックな表現が入って、一味違う素敵な歌を歌ってくださいました。

同じく聞きに行かれた方の感想

初めて「メサイア」を生で聴きました。コーラスとコーラスの間の福井さんのソロは鮮やかで、聴くたびに体の中が蘇っていくかのようでした。ハレルヤコーラスでは周囲が皆起立したので、一体なにごとが起こったのかと驚きましたが、盛り上がってとても楽しく、しみじみと幸せになるような演奏会でした。(Y)


 

 

12月15日(土曜日)  東京文化会館   東京コールフリーデ「オペラアリアと第九」

指揮/岩村力  

ソプラノ/塩田美奈子  メゾ・ソプラノ/秋葉京子  テノール/福井敬  バリトン/成田博之

合唱/東京コール・フリーデ  演奏/東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

第1部  珠玉のオペラ・アリア集  「カルメン」より  

      ハバネラ (カルメン) 

      闘牛士の歌(エスカミーリオ)

      花の歌(ホセ)

      何が出たってこわくない(ミカエラ)

第2部  ベートーヴェン:交響曲 第九番 ニ短調 op.125「合唱付」

感想を送っていただきました。

福井敬さんの第九は聴きたいけれど、歌う部分が少なすぎると思う私にはなんて素晴らしい企画!第九の前にカルメンのオペラ・アリアです。

カルメンといえば、圧倒的にエスカミーリョがかっこ良く、 ホセは振られても仕方ない情けない男というイメージです。 残念ながらオペラで福井さんのドン・ホセは観たことがありませんが、観たことのある友人が、まるでストーカーのように偏執狂だったと話してくれました。

そんなことで、「花の歌」をとても楽しみにしていました。

 カルメン前奏曲に続いて、一番初めはエスカミーリョの「闘牛士の歌」
 成田さんは闘牛士のようなスタイルで、男らしくて渋いエスカミーリョです。やっぱり、エスカミーリョ、かっこ良い!と思ったところで

次は、福井敬さんの「花の歌」です。 美しい。穏やかに美しいところから 明るい陽光のもとカルメンを想う気持ちをせつせつと訴えかけられて、 胸をしめつけられるような、泣きたいような気持ちになってきました。 明るく美しくせつない素晴らしい歌で、カルメンがホセを振るなんてとんでもないと思い始めました。が、だんだんと想いの強さが尋常ではなくなっていくのがわかり 福井さんの目が狂気じみてきて、 最後、脅すかのように「Carmen、je t’aime」 とつぶやいた時に背筋がぞくっ。 怖い すっごく怖かったです。 これは絶対カルメンを刺すと思いました。 まさか、花の歌一曲でストーカーのようなホセは わからないだろうと思っていましたが、思い切り納得しました。

福井さんの歌一曲ですっかりオペラを全幕観たかのような充足感でした。

 
第二部の第九は、最初から最後まで生きる事が楽しくて楽しくて、辛い事も悲しいことも嬉しい事も楽しい事もなにもかも すべてがワクワクして楽しめるという演奏でした。 第九での福井さんの歌はいつも、まばゆい白い光を天に放っているかのように 思えるのですが今日も強力な光を放っていらっしゃいました。

第一部も第二部も充実して幸せな気分になる演奏でした。(Y)