レビュー

マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」

(2009年7月 1日 13:16)

マーラー:交響曲 第8番「千人の交響曲」

(2009年07月01日 19:00)

ミューザ川崎シンフォニーホール5周年記念公演
MUZAバースデイ・コンサート

会場:ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:飯森範親
ソプラノ:澤畑恵美、腰越満美、中村恵理
メゾ・ソプラノ:小山由美、谷口睦美
テノール:福井 敬
バリトン:久保和範
バス:久保田真澄
管弦楽:東京交響楽団
合唱:東響コーラス、
東京少年少女合唱隊、ゆりがおか児童合唱団、横須賀芸術劇場少年少女合唱団

ミューザ川崎の開館5周年記念演奏会です。なんと、皇太子殿下がご来場され、警備の厳しさにびっくりでした。いたるところに検問というか、金属探知機のゲートを通らないとホールに入れない!こんな事は初めてです。

演奏は、そのせいでもないですが、熱いほとばしるようなマーラーの情熱を感じることの出来る凄い演奏でした。この曲は、大編成のオーケストラに、ソリスト8人、2パートの混声合唱、児童合唱という「千人」という言葉がぴったりの大規模な交響曲で、人数が多いだけに演奏が散漫になりがちなのですが、指揮の飯森さんがオケや合唱を自由にドライブして、色っぽく、熱く、マーラーの思いを音楽に乗せて聞かせてくれました。

福井さんは、「マリア崇拝の博士」という役柄なのですが、素晴らしく美しい旋律を熱い思いをこめて歌っておられて、ほんとに感動で涙が溢れてきました。オペラのアリアとはまた違った、神様への感謝を歌う曲で、感謝と一言では言い表せない様々な思いをこんな表現力で歌える方はいないのではないかと思って聞いてきました。

マーラーが「宇宙が鳴り響く様子を想像してほしい。人間の声ではなく、惑星や太陽が運行する音なのです」語ったといわれる交響曲、まさにそれを体現できる演奏だったような気がします。