オテロ(感想)続き

(2010年2月24日 08:18)

なんて素敵なオテロ
福井さんのオテロ、期待に違わぬ素晴らしさでした。激しい心情を吐露する凄い演技力!
明と暗のコントラストをはっきりつけた振り付けも、ぴたりと決まっていました。
そして、その歌声!!力強く、時に甘く、振れ幅の大きい感情を、輝ける美しい歌声で自在に
表現された熱唱に、もうハートを鷲掴みされました。一幕目のデズデモーナとの二重唱。『もう一度くちづけを』は
優しくて、大人の色気がたっぷりで、うっとりでした。二幕目の『神かけて誓う』は赤い布を引き裂いて体に巻きつけて歌う演出も映えて、男らしくてかっこよかったー!
舞台がシンプルで具体的な物がない為、時代や国や肩書きといった設定が気にならず、登場人物の心情に焦点が絞られて、とてもドラマテイックな、現代劇と言ってもいい舞台になっていました。
昨年の新国立劇場や過去のDVDを見たときは、不条理なストーリーに全く共感できず、暗くて苦手なオペラだと思っていました。(デズデモーナが可愛そうだわ)と涙して見ていたのに、
今回福井さんの歌うオテロでは一転。『運命の力』に飲み込まれ悲劇の坂を転がり落ちていくオテロが可愛そうで、でもかっこよくて・・・。
『オテロの死』の熱唱に周囲は嗚咽に溢れていました。ブリニョーリ氏によるヴェルデイの豊麗な音楽と福井さんの気迫漲るオテロが最高の形で現れた舞台でした。
福井さんは、素晴らしい役者さんでもあったんですね。何度も見たい舞台です。 (C)

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