レビュー

ヴェルディ 歌劇「オテロ」

(2010年2月20日 15:30)

2010年2月17日(木) 20日(土)

東京文化会館 大ホール

ヴェルディ 歌劇「オテロ」

オペラ 全4幕
字幕付原語(イタリア語)上演
台本:アリゴ・ボーイト
作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
 

指揮:ロベルト・リッツィ=ブリニョーリ

演出:白井晃

 

オテロ
イアーゴ
カッシオ
ロデリーゴ
ロドヴィーコ
モンターノ
伝令
デズデモナ
エミーリア
 福井 敬
大島幾雄
小原啓楼
松村英行
小鉄和広
村林徹也
須山智文
大山亜紀子
金子美香

合唱: 二期会合唱団
管弦楽: 東京都交響楽団
東京二期会オペラ劇場公演
まさに、マリオ・デル・モナコの再来。もしかしたら、それ以上かも知れません。凄いオテロを見ることが出来ました!
白黒のモナコのDVDをカラーにして見ているような。
17日は初日の緊張感と、オテロという芝居の緊張感が相まって、終わった後は拍手も忘れて早くその場から逃げ出したいという感じでした。20日はもう少し冷静に見ていられました。
見れば見るほど、聴けば聴くほど凄いオテロです。福井さんは、もちろんその声の美しさ、パワーがダントツなのですが、でも、歌心というか表現の濃密さというか、他の方とは全然違います。
声の凄さといえば、高声部はカーーんと張って強く、そして、低声部でもまるでバリトン歌手のように力強く響いてきます。そして、表現力!オテロは福井さんが是非やりたいと思っておられたオペラ。
ファンとしても、この舞台に出会えたのは本当に幸せでした。
演出は、白黒で全てを表現していて、シンプルなのにとても素敵でした。無駄がない!でも充分!という理想の形でした。
オーケストラもよく鳴っていました。オテロなんだから、このぐらいの迫力で演奏して欲しいという人もいれば、歌手の負担も考えたらちょっと鳴らしすぎ。という感じも。
とにかく、日本でこんな凄い「オテロ」が見られるなんて。是非とも再演して欲しいと思いました。

 読者の方からの感想です。ありがとうございました。
オテロの葛藤の場面のあまりの迫力に言葉を失いました。
特に、ヴェネツィア大使から書状を受け取ったオテロが、怒りに我を忘れてデズデモーナを突き倒した後の、どんどんオテロが壊れていく場面。凄まじい演技に呆然としました。今、思い返しても何時間でも呆然としてしまいます。私は、この4年間福井さんのオペラをできるだけ観てきました。でも、今まで観ていたものは何だったのだろうと思うほど衝撃的な演技でした。ぜひ、5年後、10年後の福井さんの年を重ねたオテロも観てみたいです。
私は福井さんの歌が大好きで大好きで毎日聴くほどですが、その歌を聴けることを我慢してでも、人間の深層心理を写し出すような深刻な内容の福井さんの劇やドラマを見てみたいという思いにとり憑かれています。どうしたらいいでしょう?(Y)

なんて素敵なオテロ
福井さんのオテロ、期待に違わぬ素晴らしさでした。激しい心情を吐露する凄い演技力!
明と暗のコントラストをはっきりつけた振り付けも、ぴたりと決まっていました。
そして、その歌声!!力強く、時に甘く、振れ幅の大きい感情を、輝ける美しい歌声で自在に
表現された熱唱に、もうハートを鷲掴みされました。一幕目のデズデモーナとの二重唱。『もう一度くちづけを』は
優しくて、大人の色気がたっぷりで、うっとりでした。二幕目の『神かけて誓う』は赤い布を引き裂いて体に巻きつけて歌う演出も映えて、男らしくてかっこよかったー!
舞台がシンプルで具体的な物がない為、時代や国や肩書きといった設定が気にならず、登場人物の心情に焦点が絞られて、とてもドラマテイックな、現代劇と言ってもいい舞台になっていました。
昨年の新国立劇場や過去のDVDを見たときは、不条理なストーリーに全く共感できず、暗くて苦手なオペラだと思っていました。(デズデモーナが可愛そうだわ)と涙して見ていたのに、
今回福井さんの歌うオテロでは一転。『運命の力』に飲み込まれ悲劇の坂を転がり落ちていくオテロが可愛そうで、でもかっこよくて・・・。
『オテロの死』の熱唱に周囲は嗚咽に溢れていました。ブリニョーリ氏によるヴェルデイの豊麗な音楽と福井さんの気迫漲るオテロが最高の形で現れた舞台でした。
福井さんは、素晴らしい役者さんでもあったんですね。何度も見たい舞台です。 (C)


オテロ「観せていただきました」

福井さんのオペラは 「トゥーランドット」に続き 2回目ですが
このたびも いつものリサイタルの福井さんと オペラの福井さんの
お二人がいられるように思いました。
そして「オテロ」では 歌手の福井さんと 役者の福井さんが 見事に
融合して 迫真の舞台でした。 我を忘れるといいますか 自分の存在が
なくなり ドラマに溶け込んでいったように思います。
オテロを通じて 人間の悲しさを 心の底まで 感じました。
本当に素晴らしい舞台 ありがとうございます。
師匠であられる 若杉弘さんも 天上で 満足なさり お喜びのことと思います。
 
また私は 福井さんが歌曲をフランス語で歌われるのも 大好きですので
「ファウストの劫罰」も とっても 楽しみにしております。(Kさん)

classic news(クラシック・ニュース)2月17日
東京二期会オペラ劇場公演ヴェルディ「オテロ」、白井演出に見る感情の内面表出!
ゲネラル・プローベ公開!
http://classicnews.jp/c-news/2010/0214-0220.html#2

▼MSN産経ニュース - エンタメ2月17日
東京二期会「オテロ」 モノトーンの舞台に渦巻く疑念と策謀
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/music/100217/msc1002170021000-n1.htm

▼オペラの散歩道 アーティスト最新情報http://www.nikikai21.net/blog/