ファウスト感想ーその2

(2010年7月24日 12:02)

皆さまから頂いた、「ファウスト」感想第2弾です。ありがとうございました。


なんとも賑やか、煌びやか、派手な舞台でした。
ゲーテの原作を読んでも、なんだかピンと来なくて、ファウスト役なんて福井さんに似合わないのでは・・・
と心配してました。しかし、CDで予習に聞いたニコライ・ゲッダの美しい声を聞いて、これは、福井さんの
声質に似ている、福井さんはもっと素敵な声だから、これは素晴らしい舞台になるに違いない!と一転、期待して
向かいました。
15日の初日は、最前列で見ました。幕が上がると、ひげもじゃの老ファウスト博士が一人、
大きな本を抱えて佇んでいます。思わず、くすっと笑ってしまいました。孤独な老人というよりは、クリスマスの
デパートにいるサンタクロースのようで、なんとも愛嬌があって、福井さんがこんな格好している!という驚きと
可笑しさにニヤニヤしてしまいました。しかし、メフィストフェレスにより若者に変身したお姿の素敵なこと!
立襟のシャツ、長いジャケット、ブーツ姿がとてもよくお似合いでした。
メフィストフェレスにつれて行かれた酒場のシーンでブランデルが歌っている間も後方で座って飲んでるファウストが
初めは物珍しそうに、楽しげに、そのうち嫌気が差してここを出よう、というように細かく芝居をしていて上手だな
と思いつつ見てました。ファウストがメフィストフェレスに眠らされ夢を見ているシーンでは、寝台にうつ伏せになって
寝る福井さんの寝顔はあどけない少年のように可愛らしかったです。夢を見つつ、マルガレータ!と呼びかける声の
なんとも甘くて、胸キュンなこと・・・。
 
舞台は大変面白く、美しく、福井さんの歌も素晴らしかったのですが、演出のコンテンポラリーダンスの激しさに
眼を奪われ、音楽に身を委ねることができず自分の中で消化不良だったので、17日にもう一度見に行きました。
今度は三階の一列目。全体を捉えることができました。音も間近で聞くよりきれいにハーモニーが溶け合って、
この日の演奏、合唱はとてもよかったです。そして、福井さんの歌は初日にもまして素晴らしかった!!
輝く張りのある声を聞かせる時は金色のしぶきを放ち、甘く、色気を感じさせる歌の時は薔薇色の風に包まれ、
そして強い意志を披露するときはまばゆい光が体から放射されてゆくのが見えました。
 
たゆたう様に流れる川のようなベルリオーズの音楽は美しくていいですね。わかりやすいアリアはあまりないけど、
私の好きなファウストの歌。
 
No.3 1部の冒頭  平原で歌う『冬は去り…』
No.2 3部のマルグリートとの二重唱
No.1 4部の 自然を称える歌。  寝姿から起き上がって歌う力強さが若々しくて、リサイタルでも歌って
                 ほしいな。
 
                                    ( Collina )