レビュー

森麻季 & 福井敬 オペラ・デユオの妙技

(2011年2月11日 19:58)

2011年 2月 11日 (祝)15時~

三井住友海上しらかわホール(名古屋)

【出演】 ソプラノ:森 麻季/テノール:福井 敬/ピアノ:山岸 茂人

プログラム
『ファウスト』より 宝石の歌   (グノー) 
 夢のあとに           (フォーレ)
 おお、夢に来ませ        (リスト) 
『ウエルテル』より 春風よ、なぜ私をめざますのか (マスネ)
おお、愛せるだけ愛して下さい(愛の夢)      (リスト)
君を愛す                     (グリーグ)
『こうもり』より 「侯爵様、あなたのようなお方は」(シュトラウスⅡ)
『ほほ笑みの国』より 「君はわが心のすべて」   (レハール)
 
 
『愛の妙薬』より「すばらしい妙薬!」~「ラララララ・・・」(ドニゼッテイ)
        「人知れぬ涙」 
『セミラーミデ』より「うるわしい光が誘惑する」(ロッシーニ)
『リゴレット』より女心の歌          (ヴエルデイ)
『ラ・ボエーム』より 「私が街を歩くと」   (プッチーニ)
『トウーランドット』より「誰も寝てはならぬ」 (プッチーニ)  
 
ピアノ  山岸茂人
 

感想(お二人からいただきました。ありがとうございました。)


「オペラ・デユオの妙技」のタイトルに惹かれて、東京から名古屋に駆けつけました。この日は雪がかなり降っていました。ロマンテイックです。
オペラの有名な二重唱の場面をいっぱい聞かせて下さるの・・?と期待してましたが、2人で歌われたのは『愛の妙薬』だけでしたので、
物足りなく思いました。お二人が交互に歌われて、合間にトークで歌の説明もあり、なごやかなムードでした。が、2人で歌うシーンでは、声量の違いを感じました。
 
美女の森さんが歌うムゼッタのワルツ・・・彼女にお似合いで、とっても素敵でした。
福井さんも、森さんのことを「声も美しく、演技も素敵。そして、この容姿・・!舞台の上で、惚れてしまう・・」なんて、褒めていました(きゃー)。

『愛の妙薬』で、福井さんは、お酒を飲んで酔っ払ったり、アデイーナに引っ叩かれたり、といった三枚目の演技を大変楽しそうに、生き生きと演じているように見受けました。森さんも「いつも英雄的な役をされる福井さんのネモリーノにびっくりしています。」と。
 
ご本人は、「こちらの方が地に近いんです。」と、おっしゃり会場の笑いを取っていましたが、・・・・いえいえ、二枚目だからこそ、この役が生きるのだと思います。
 
でも、やっぱり、私は『椿姫』とか『リゴレット』とか『マノン・レスコー』とか、二枚目の福井さんのデユエットをいっぱい聞きたかったです。(Collina)
 

福井敬さんは、絶対にコミカルな役も得意に違いないとずっと思っていました。そんな役があったら観てみたいとも。それが、今回かないました。


ドニゼッティ:オペラ『愛の妙薬』より「すばらしい妙薬!」~「ラララララ・・・」で、福井さんはベストを着て現れて、ポケットから小瓶を取り出し、ゴクゴクゴク。 愛の妙薬を(実はワイン)を飲んじゃったよ~。これでモテモテさ!!とばかりに(本当は酔って)スキップするような勢いでコミカルに「ランラララランラン♪」現れた森麻季さんのアディーナにべらべら語り何、調子に乗っているのよ!とアディーナに頬を平手で叩かれてこんなはずでは・・・とブルーになるも、また小瓶を取り出して飲んですっかりいい気分になって「ランラララランラン♪」


面白かった!!ここまでやるかというぐらい福井さんはお笑いに徹した身振り手振りで、話の内容はわかりやすいし客席は笑いの渦。もちろん歌も素晴らしくて、森さんとのテンポの良い振りつけも楽しかったです。森麻季さんとの二重唱を楽しみに雪の名古屋まで足を伸ばした甲斐がありました。福井さんの演技力の幅の広さにいつもワクワクします。できればコンサートで、二枚目役、コメディ役、怪しい役、中年役と歌舞伎ではないけれど、何役にも変身して歌う姿をぜひ見て(聴いて)みたいです。(Y)