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タンホイザー感想(Y.Yさんより)

(2012年3月28日 07:12)

タンホイザーを予習のためにDVDで初めて観たとき、驚きで胸がいっぱいになりました。エリーザベトがタンホイザーに対して想っていることは、私が福井さんにいつも感じていることそのままです。初めて福井さんの歌を聴いたときから、福井さんの歌だけが私の心を揺り動かし、全身を喜びでいっぱいにし、力をみなぎらせる。どの歌手が歌おうが、私にとってのタンホイザーは福井さんだけです。だから、エリーザベトとタンホイザーの二重唱が一番の楽しみでした。
 
 が、実際にオペラを観て、強烈に印象に残ったのは、歌合戦の場面でした。性欲、肉欲、あらゆる煩悩でギラギラしているタンホイザー。悪魔的な笑みを浮かべてヴェーヌス賛歌を歌う姿が忘れられません。頭の中では危険信号が鳴っているのに、歌を聴くとどうしても気持ちが惹きつけられてしまう。エリーザベトがタンホイザーの歌を聴いて周囲の非難の嵐の中にもかかわらず、ふらふらと歩み寄った時、同じ気持ちだ!と嬉しくなりました。
 
 そして、リアルなローマ語り。煩悩ギラギラに加えて荒みきったタンホイザーの世界に、引きずり込まれました。世界が全て敵で、身の置き所がない。もうだめだと絶望感に叩き付けられたところで、まさかのエリーザベトの救済。巡礼の歌の素晴らしさ!本当にこの歌は魂に響きますね。安堵と喜びと大感動に包まれ、幕が降りた後しばらく動けませんでした。初めて、ワーグナーのオペラを生で観ましたが、こんなに面白いとは思いませんでした。まだ、音楽が頭の中をぐるぐる回っています。「パルジファル」も楽しみにしています。(Y)