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2012年 トスカ 感想(Colina)

(2012年8月 5日 14:36)

登場された時から、そこだけに灯りがぽっと点ったかのように、福井さんは

輝いて見えました。せいぜい30歳位の若々しい、正義感溢れる青年役・・ぴったりでした。

堂守とのやり取りの軽妙さ、アンジェロッテイへの男気あふれる振る舞い方、

1幕でのトスカとは少々すげなく、やや倦怠期のカップル(?)風だったのが

3幕では情愛に満ちたセリフ回しと演技で、巧みに演じ分けられてどんどん引きこまれて行きました。

歌はもちろん、劇中のセリフの発音がとてもきれいで、抑揚があって、耳に心地

よく響いてきました。言葉の中に音楽がある、という感じでしょうか?

『星は光りぬ』コンサートでこの歌を歌われる時以上に、たっぷりと泣きも入った

慟哭の歌でした。お客さんの反応は(えっ!ここまでするの〜?)という一瞬の

とまどい、そしてすぐ(カヴァラドッシのトスカへの愛はここまで強いのか!)

(死を覚悟してるんだもんな)(悲嘆の表現とはこう歌ってもらってよくわかった)

(素晴らしい!!)と、割れんばかりの拍手でした。

一番好きな、2幕の「Vittoria! Vittoria!」と叫ぶシーン。音楽の盛り上がりと共に

立ち上がりスカルピアにまっすぐ立ち向かって歌う緊迫感と迫力の美声が本当に

素晴らしかったです。予習で聞いていたマリオデルモナコばりの、いえ、もっと

輝く薔薇色の声!!すっかり嬉しくなりました。このひと声を聞くためだけに、

はるばる東京から来た甲斐がありました〜。(  Collina )