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9月16日 パルジファル感想 (collinaさん)

(2012年9月22日 13:23)

≪純粋で愚かな若者≫とは、社会から隔絶して育ち、自分の名前(使命のことかな)も知らない素の存在。
愚かな を強調すれば、ちょっと足りない気のいい人になりがちで、山下清に見えたらどうしょう?という心配は、全くの杞憂でした。あどけない若さは美しくて、可愛らしくて、射落とした白鳥に手を置くシーンは本当にピュアでした。回転する聖杯城の中を、驚くべき光景を見ながら進んでいくシーンでの顔の表情、体の動き、は賢くて幼い少年そのもので見とれてしまいました。特に素晴らしかったのは2幕での、クンドリとの絡み。目が覚めたような「アムフォルタス!」という叫び。まさに物語の頂点でした。「傷が・・傷が・・」ここからの音楽の高まりと福井さんの熱唱は・・凄い!!凄い!!!エネルギーの塊。噴火するマグマ。
この素晴らしい演技、火が出るような熱い歌唱を、夏中を通して作ってこられたんですね。
今回もまた、さらに『想像の上をいく』福井さんのパルジファルでした。
投影される映像も、廻り舞台や演出も素敵で、パルジファルが独裁者になるラストや救済されるクリングゾルなど、すべてが納得できて、腑に落ちたストーリーでした。二期会60周年記念の目玉の公演にふさわしい、上演史に名を残す最高の舞台だったと思います。 9月13日、16日  Collina