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詩人の恋 コンサート感想(2)

(2012年10月12日 21:36)

あ、歌曲っていいなと思いました。福井さんの美しい声がじっくり聴けて。詩人の扮装も素敵でした。物語の展開がありありと描き出されて演劇を観ているみたいでした。特に好きだったのは「.薔薇、百合、鳩」早口言葉のような幸せいっぱいの歌。「恨みは申すまい」期待通り!キュウッと心をしめつけられました。

 日本歌曲はまた別世界でした。よく知っている高温多湿の世界。中田喜直さんの曲をYou Tubeで聴いた時は、はっきり言って良さがわかりませんでした。それが、福井さんが歌うと詩が曲にぴったりとあわさって胸にせまってくるのはどうしてでしょう?「ゆく春」は途中で曲調が変わるたびに、はっ、こんな世界もあるんだ!あっ、こんな表現もあるんだ!発見と驚きの連続でした。ぜひ、もう一度聴いてみたいです。

歌曲で相当うっとりとして、体の半分ぐらい溶けているのではというところで、「星は光りぬ」この前、観たオペラの場面が体を駆け巡ってじんときました。「ある日青空をながめて」本来なら大ホールに広がる声が前から2列目の私の席に直撃!あまりの迫力と音圧に呆然としました。体が動かない。手も動かない。ただ、幸せがあるのみ。どうしても拍手ができなくて失礼しました。

毎回ネットコンサートの内容の充実度はすごいと思っていますが、回数を重ねるごとに福井さんのプログラムもますます洗練されているように思います。今回は、同じ人が歌っているとは思えないほど3部がそれぞれ別の世界を持ち、1日に3つの中身の濃い演奏会を聴いた満足感でした。アンコール曲も含めて完璧でした。オペラが続いてお忙しかったはずなのに、こんなに質の高い演奏会を本当にありがとうございました。コンサートの内容が良いほど終わると寂しい気持ちになりますが、来年もまたあると決まっていることが救いです。(Y)