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山田耕筰のオペラ「黒船ー夜明け」
(2008年2月26日 08:50)2008年2月24日 新国立劇場にて
スタッフ
指揮/若杉弘 演出/栗山昌良
美術/松井るみ 衣装/緒方規矩子 照明/沢田祐二
キャスト
お吉/釜洞祐子 お松/青山恵子
姐さん/永田直美 吉田/星野淳
領事/村上敏明 書記官/市川和彦
伊佐 新次郎/大島幾雄 町奉行/谷友博
第一の浪人・漁師/土崎譲 第二の浪人・漁師/青山貴
第一の幕吏/倉石真(全日) 第二の幕吏/原田圭(全日)
火の番/二階谷洋右(全日)
序景の独唱・舟唄/福井敬(全日)
合唱/新国立劇場合唱団
管弦楽/東京交響楽団
童謡「赤とんんぼ」、歌曲「からたちの花」の作曲家山田耕筰による、日本のグランドオペラ第一号。日本人による本格的な日本語のオペラを誕生させた記念碑的作品。
と、言われながらも、「日本語のオペラだし???」という気持ちで出かけました。ところが、これがすごく面白い。山田耕筰だから、もちろん、唱歌風なアリアあり、民謡風なところもあり、古典派的な明快メロディーあり、でも、全体はシュトラウスやワーグナーみたいなかなり重めの作りで、「これが明治時代の日本人が作ったオペラなの!」というぐらい音楽は新しくびっくりでした。それに、日本語なのでまるで新劇か歌舞伎をみているようなレチタティーボ。演出も江戸末期の日本という事もあり、純和風。一度で5度ぐらい楽しめるオペラでした。
また、主演の釜洞さんは、おととし二期会のダフネでも主演されましたが、こういう重めのオペラでもさらっと歌ってしまう実力の持ち主。すごいです。ほとんど全編出ずっぱりで歌う量もかなりあったにもかかわらず重いアリアもそれと感じさせず歌いあげておられ増した。
福井さんは、序景の舟歌を歌われました。これって、全く民謡です。上の写真はそのときの舞台写真ですが、右の船の上の一番高いところでうちわを持って入るのが福井さん。「民謡をオペラで? クラシックの歌唱で民謡を歌うとこうなるのか!」というのがよくわかりました。福井さんが、「超絶技巧のアリアなのです。」とおっしゃっていましたが、民謡のこぶしがカデンツァのようになっていて、面白かったです。それにしても民謡歌う人って相当高い音域で歌っているのですね。改めてびっくり。
民謡といえば、フルートの人がまるで尺八のように吹いておられ、こんな表現もできるのだなあと思いました。オケもこの出所不明のようなオペラを楽しむがごとくに演奏されていて、好演だったと思います。
このオペラを見た読者の方からの感想です。